近年、ロト6やナンバーズなどの宝くじに対する詐欺事件が多発しています。以下、具体的にこの事件の概要について説明いたします。

宝くじは、不特定の数字が記載されている紙面を購入して、それが宝くじ発行機関によって、その数字を抽選し、その抽選された数字によって賞金が決定されるというもので、実質的には、地方公共団体が発行する富くじとしての性質を有します。そして、通常の宝くじは、購入した時に既に数字が記載されており、自らその数字を選ぶことができません。

これに対し、近年自ら能動的に数字を選択することができるタイプの宝くじが発行されています。これがロト6やナンバーズです。そして、このタイプの宝くじは、自ら番号を選択することができることから、自己の意思によって宝くじを当てる対策を行うことができるような外観を有しています。もっとも、宝くじは、宝くじ発行会社が任意に番号を抽選しており、その抽選方法もその発行会社の人間によって恣意的に選定されるのではなく、機械によって公平に選ばれています。そのため、宝くじについては、たとえ任意に番号を抽選することができたとしても、その対策をすることはその性質上不可能なのですが、このような任意に数字を選択することができるという外観によって対策ができるように思えるため、その対策を行うと偽って料金を詐取するという詐欺事件が非常に多いです。

具体的には、抽選前にその抽選番号を予想して、その予想した番号に就いての情報を被害者に対して売却するという商法です。そして、この行為者は、被害者を信頼させるために、宝くじの抽選結果が新聞に出る前に、被害者に対して抽選番号を教示するという手法を用います。もっとも、宝くじの抽選結果については、新聞より前にインターネットにおいてその番号を知ることができることから、この情報は予測によるものでないことは明らかです。このような取引はその性質上詐欺であることが明らかであるということができます。そのため、これについて詐欺対策を行うことが可能です。加害者の住所や銀行口座などの財産の所在を割り出し、裁判所に対して契約が詐欺によって取り消されることを理由として、民事裁判手続きと執行手続きによって支払った金銭を不当利得として取り戻すことが可能となります。